NAKAHARA MASAYA(中原昌也) - MIXCD - BLACKSMOKER[国内新品MIX-CD/EXPERIMENTAL]

90年代の暴力温泉芸者を知っている音楽ファンは、既視感を覚えるだろう。中原昌也による自身初
のミックスCDは、まったく最悪にして最高の出来栄えである。また、この作品はこの国における最狂の
アウトサイダー・アーティストと狂気のレーベルの記念すべき邂逅として人びとに記憶されるだろう。
 僕はいまのところ、これを通して4回聴いている。4回とも笑い転げ、途中何度も不快な気持ちにな
った。5回目の再生ボタンを押そうとした瞬間、体が拒絶した。僕の勘が正しければ、中原昌也はア
ナログ・シンセを弾いているのではないだろうか。ともあれ最初の10分がひとつのピーク・タイムである
。ひっちゃかめっちゃかなレゲエとヘンテコなファンクのリズムは、〈BLACK SMOKER〉にオマージュを
捧げているようだ。いつか中原昌也がK-BOMBのことを「ストリート・チルドレン」とユニークに形容して
いたことを思い出す。
 『MIXCD』には、中原昌也の本物志向に対する強烈な批評精神が息づいている。DJプレイのお決
まり事をことごとく破壊し、ダンス・ミュージックにおける反復の快楽に唾を吐きかける。なにも信じない
という強固な信念、拒絶の意志が、ガラクタとカスのメリーゴーランドをぐるぐると回転させる。飽きがく
ると放り出し、すべてのリスナーの期待を裏切る諧謔のミステリー・ワールドへわれわれを引きずり込
んでいく。
 クライマックスがまた凄い。まるで鉄のムチで人のケツを引っ叩いているような、あるいは女囚たち
が暴動の合図に食器を叩き鳴らすような奇妙な物音がしてくる。そして、いつまで続くのかと気が遠く
なる手弾きのシンセ・ベースが突然のエンディングを用意する。ああ、なんて素晴らしく狂った世界だ
ろうか。(二木信)

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●中原くんがたまにふっと選ぶ(それはDJでも会話
の中でも)、ある種の美しくて、儚くて、そして渋
くて馬鹿げてもいる音楽はいつも僕の琴線に触れる
ものなのだ。嬉しいことに、このミックスにはそん
な音楽ばかりがコレクトされていた。曲の連なりと
いう意味でも実に素敵なミックスだった。中原くん
、ありがとう。また、ケイボンともライヴをやって
ほしいし、トラックも待ってるよ。
(原 雅明)
●心の外の琴線はビリッビリッに震え うわの空
で聴き 闇雲に乗った
(yudayajazz)
型番 国内新品MIX-CD
販売価格
1,650円(税込)
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