怪しげな楽団に誘われ箱のふたを開けてみると、赤、青、黄色、白黒...原色に彩られた、まるで幼児の玩具のような世界が広がる。その世界は現代社会における我々を、さらには自らをも客観的に映し出し、その中に不満や皮肉を吐露し提案するかの様に本作は綴られてゆく。

積木くずしのようなシステムの中で生きることを受け入れながらも、活発に生き自由を求める意思を伝える。無表情な人形は、意思なく追従のみに身を任せる者を批判する。オルゴールのメロディの感傷的なスキットが明けると、人形を生き生きと踊らせ先導する電波を、ラジオコントロールに例えコミカルに発信する。更にはその世界に置き去りにされたチェスの盤面からインスピレーションし、戦争ビジネスの影響を、戦争と自らとの距離感を感じながらも謳い、大胆にも解決策を提案する。

テキーラグラスを飲み干しダンスに身を投じる日常のスキットを再度挟んで、それらを締めくくるかのようにゲームに集約する。そしてアウトロを迎え、極彩色の玩具箱のふたを閉じるようにこのアルバムは終幕する。これらがすべてダンスミュージックとして表現され、耳障りの良いトラックによっていわゆる踊れる曲として成立しながら、聴きこむことでメッセージを受け取ることもできる濃厚なアルバムとして仕上がっていると、はっきりと言えるであろう。そのコンセプトや発想は注目に値し、単なる実験作品にはとどまらない可能性がある。YES必聴!!!



1.Into The Box
2.Building Bricks
3.Dolls
4.Skit
5.Radio Control
6.Chess
7.Skit
8.Game
9.Escape From A Box
10.Radio Control Remix & Chess Remix (Bonus Track)